NoTitle
鳥が大活躍する長編RPG。
めっちゃ長かったが、めっちゃ面白かった。
よい点たくさんあるのですが、ここでは特に、ダンジョンでの「敵避け」について語ってまいりたいと思います。
本作では「シンボルエンカウント」が採用されています。
ドラゴンクエスト全盛の時代にはランダムエンカウントが主流でしたが、昨今では珍しくもない、ごく普通のシステムです。
シンボル採用のゲームにありがちな点として、「狭い通路に敵がひしめき、どう足掻いてもエンカウントしてしまう」というのがあります。
これは実にイライラする。自分の操作が下手なせいで敵に当たってしまうのは自己責任と納得できますが、避けようと思っても避けられないのは、ただただ理不尽としか言いようがない……。
ところが本作ではそのような理不尽は起こりません。なぜか?
冒頭でも述べたとおり、この物語の主役は「鳥」です。
人間では越えられない川や湖、果ては崖までスイスイ飛び回ることができ、その間、敵の魔手が届くことはありません。
ときどきコウモリ型のシンボルが紛れていて、そいつらは主人公と同じように飛んで追いかけてくるものの、肝心のスピードは速くないため振り切ることは十分可能で、また容易に避けることができます。
では、敵とエンカウントすることは全然ないのかというと、そうでもないのが本作の「キモ」です。
四六時中、縦横無尽に飛び回れればこれほど楽な話はありませんが、飛行にはある程度の「制限」があります。
さすがの鳥たちといえども、あまりに高低差の激しい場所は行き来できません。加えて、画面左下には常に「飛翔ゲージ」が表示されており、長時間の飛行によりこのゲージが空っぽになった瞬間、「バタッ」という不隠なSEとともに着陸を余儀なくされ、回復するまで地べたを這う羽目になります。
なので考えなしに飛びすぎると、プレイヤーの意にそぐわぬ場所で歩行を強制され、必然、敵に襲われる危険性は跳ね上がります。ちなみに鳥なので、歩くスピードはめっちゃ遅いです。
では、敵とエンカウントしたら戦うしかないのかというと、そうでもないのが本作の「モモ」です。
もし敵とのバトルに突入してしまっても、「最大TPの20%」と引き換えに、ノーダメージで逃走することができます。
TPはドラクエでいう「MP」と同義で、これは移動中に消費されることは一切ありません。つまり、単純計算で「5回」までは、不慮の戦闘を無償で回避できるというわけです。
逃げた後、すぐさま相手から距離をとって飛翔ゲージを回復したのち、タイミングを見計らって飛べば、めでたくシンボルを避けることができるでしょう。
もしまた当たってしまっても大丈夫! 再度20%のTPを支払いさえすれば逃げられるので、敵避けが苦手なプレイヤーでも安心です。
では、敵から5回逃げたらいよいよ戦うしかないのかというと、そうでもないのが本作の「ハツ」です。
一般的なRPGと同様、本作にも「アイテム」が登場します。
HPを回復する木の実、状態異常を治す油、気分がハイになるキノコ……。
その種類は多岐にわたり、中にはもちろん、TPを回復するものもあります。
これらのアイテム、なんと無限に補給ができます!!
一度に所持できる個数に制限はあるものの、上限に達しない限り、何度でも何個でも、お好みで入手し直すことが可能です。
なので、敵からの逃走によりTPが尽きてしまっても、気軽にアイテムで回復することができ、ある種のロスタイム的な猶予が生まれるというわけです。
このように至れり尽くせりな設計ではありますが、アイテムの補給ポイントはダンジョンごとに定められており、「探索中いつでも補給可能! 使いたい放題!!」とまではいきません。
調子に乗ってエンカウントしすぎると、瞬く間にTP切れに陥り、そんな状態で戦いを挑んでも勝てるわけがなく、最悪リセットせざるを得ない状況に追い込まれるでしょう。
要するに、このゲームにおける敵避けは、
初心者に優しい反面、油断すると死に繋がる上級者仕様
という、二つの側面を兼ね備えた絶妙なバランスの上に成り立っていると言えます。
ここまでずっと、「シンボルを避ける」ことばかり述べてきましたが、もちろん、逃げずに戦って倒すこともできます。
ただ、このゲームの性質上、「TPを温存して勝つ」というのがなかなか難しく、全滅は即ゲームオーバーを意味するため、ダンジョン探索中は「避け」および「逃げ」に徹するのが個人的にオススメです。
要所に配置されたボスはどれも手強く、レベル上げは必須ですが、付近にセーブ機能を有する回復ポイントが用意されているので、効率的に稼ぐことができるでしょう。
本作には他にも素晴らしい要素が多々あり、
・描き下ろしの暖かいグラフィック
・易しすぎず難しすぎない戦闘システム
・進行度に応じて変わる村民の台詞
・場面の雰囲気にぴったりな選曲
などなど、枚挙に暇がありませんが、「本作ならではの魅力」という部分に絞った場合、やはり前述の「敵避け」を真っ先に推したい所存です。
さて突然ですがここでクイズです。
11/27に新刊が発売された、まんがタイムきららで連載中の4コマ漫画は?
,, _
/ ` 、
/ (_ノL_) ヽ
/ ´・ ・` l キルミーベイベーは復活するんだ
(l し l) 悲しみの弔鐘はもう鳴り止んだ。
. l 、__, l 君は輝ける人生の、その一歩を、
> 、 _ ィ 再び踏み出す時が来たんだ。
/  ̄ ヽ
/ | iヽ
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そんなこんなで「NoTitle」、大変な名作です。心よりオススメ。
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